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新連載 [日記のような小説]

やがてみずきを背負って戻ってきた翠は
“みずきちゃんが眠いのね、だから、私も寝ます”
そいうと皆におやすみなさいといって合宿所へ行ってしまった。
「すっかりお姉ちゃんになって、手のかからない娘ね」
恵里子はこぼれるような笑みを湛えていた。
「ママ、翠に我侭を言わせてはダメよ」
「はい、わかっております、あなたは安心してお嫁に行きなさい」
「なんだか厄介払いみたい」
「そんなことはありませんよ、花嫁の母として涙をこらえるのが精一杯」
「ママは裁判に強いわけね」
「そろそろでかけようか」
耕平が立ち上がった。
聡子はテーブルを片づけると盆を持って返却口へ向った、そこに明美を見付け声を掛けた。
「美味しかったわ、ご馳走さま」
「お口に合いましたか?」
「ええ、花まる」
「半分は翠が作ったんですよ」
「味付けでわかった」
「そうですね」
明美はちょっと躊躇ってから、聡子を脇へ誘った。
「なあに」
「翠の事です」
「あの娘どうかしたの?」
「寂しがってます、本当は」
「わかってるつもりだけど・・・」
「お姉ちゃんと離れたことがないでしょう、だから、どうなるのか不安でしょうが無くて・・・」
「翠の力になってあげて、明美さん、何時かは経験しなければいけないことだもの、乗り越えて欲しいわ」
「私たちに出来るでしょうか?」
「友達なら出来るわよ、ね、いやまって、そうじゃないか、友達にしか出来ないかもよ」
「凄いプレッシャー」


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新連載 [日記のような小説]

聡子はこうしてもらうと何もかも忘れる事が出来た、絶対的な安心感とでも言のだろうか、深いところから泉が湧いてきてやがて全身がその清い水に浸されていくような気分になれた。
「パパのいう通りにする」
「それがいい」
「あら、聡子さん、お嫁さんになる人がパパに甘えてるの」
「パパはずっとパパ、ママは私のママでしょう、だからママにも甘えるわ」
「翠ちゃんが真似をしますよ」
「嫌なのママ?」
「ふふふ、甘えん坊さんは大歓迎、いつまでも甘えていて欲しいわ」
と言った恵里子は朝永に
「こんなあまえん坊さんで良いの、憲作さん?」
と聞いた。
朝永は返事をせずに笑顔を見せただけだった、代わりに翠が
「お姉ちゃん、お嫁に行くまではうんと甘えていていいですよ」
と言った。
「どういう意味?」
「へへへ」
「なに、そのへんな笑いは」
「なんでもありません」
「わかった、あなたパパとママを独り占めにするつもりね」
「末っ子ですからね」
「甘えるのはいいけど我侭はダメよ」
「わかっております、姉上様」
「これは約束じゃないよ、翠、私のお願い」
「わかった、お姉ちゃん」
翠はこっくりと頷いた。
「翠ちゃん! ミドリちゃん!
おしっこ」
こう叫びながらみずきが駈けてきたので姉妹の話はこれで中断された。
「たいへん、いそがなくちゃ」
翠はみずきを抱えるとトイレへ急いだ。


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