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新連載 [日記のような小説]

「あら!」
迎えに出た「女の子」の驚きは叫び声に近かった。
同じトーンで奥に向って叫んだ。
「ママ!
翠ちゃんのパパとママよ、機長さんとお姉ちゃんもご一緒」
店の中の空気が微妙に動いた、その中をにこずえが小走りにやって来る。
「まあ、皆さまお揃いで、いらっしゃいませ」
と丁寧に頭を下げる。
「お世話になります」
恵里子が変な挨拶をした。
「こちらへどうぞ」
こずえが先に立って案内する。
店の中に顔見知りがいるのか朝永は時々客に会釈している。
こうして奥の席に着いた。
こずえが改めて挨拶をすると恵里子は楽しそうな好い雰囲気のお店ねと言った後に続けて、憲作さんはよく来るのですかと聞いた。
「ええ、よく來ます」
と朝永は答えた。
「これからは私も誘って」
「いいけど・・・」
「いいけど、何?」
「いや、別に、大抵は苑長と一緒だから」
「二人が良いわ」
「うん」
やはり聡子は恵里子の娘だった。
ママお酒で良いかしらと聞きながら朝永とメニューを覗いていた聡子が注文をする。
「翠ちゃん残念でしたね」
酒と料理を運んできた「女の子」が本人より残念そうに言った。
「この娘、翠ちゃんを応援しすぎて声が嗄れたんですよ」
「私だけじゃありません」
「まあ、それは有り難うございます」
恵里子が頭を下げる。
「いいえ、お礼を言うのはこちらなの、翠ママ、翠ちゃんや紅葉台の青少年の活躍を見てるとこちらがゲンキになるんですよ、声なんて嗄れてもかまわないのよ、歌手じゃないんですからね」
「そうよね、だけど翠ちゃんの得点を見たかったわ」
本当の女の子が話を引き継いだ。
「翠ちゃん何か言ってました、お姉ちゃん」
「お姉ちゃんは失礼ですよ」
「いいえ、いいんですよ、こずえさん、もうお姉ちゃんで通っているみたいだから」
「そのうち機長さんもお兄ちゃんと呼ばれるようになりますよ、ねっ!」
「あら、どうして?」
「お姉ちゃんがお嫁にいくのはちょっと寂しけど、お兄ちゃんが出来るのは嬉しいと翠ちゃんが言ってるから」
「あら、翠がそんなことを言ってるの?」
「これはマネージャーの久美さんからの情報です、こう見えても私たちは紅葉台ナデシコの熱烈サポーターなんですよ、この志織さんは喜楽ナデシコ会の副会長で〜す」
「まあ、ご苦労様です」
聞いていた恵里子が嬉しそうに礼を述べた、日本酒のせいで少し頬が赤らんでいる。


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