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新連載 [日記のような小説]

メインはやはり焼き肉。
アルゼンチンの牧場のように盛大に、惜しげもなく、牛が焼かれた。
特製のタレが付いていて、実に美味い。
ジャガイモを三つ、人参一本、その他の野菜など決められた量の野菜を食べればお替わりが貰えた。
「こんなに野菜ばかり食べてたら兎になるぜ」
「君たちは肉の食べ過ぎ」
「食べ過ぎと言われるほどたべた記憶はないな」
「肉食獣は記憶力が悪いのよ」
「ネアンデルタールはそれで滅んだ」
「面倒くさい話は後にして肉くれ」
「ジャガイモが一つ残っていますよ」
「翠、優しい女の子になれ」
「私は優しくないの?」
「その焼きかけの肉で証明される、ここに乗せてくれ」
「あげちゃあダメだよ、翠、ジャガイモを食べなさい、佐藤君」
明美の声が響いた。
「なあ、明美、聞いてくれ、今夜はお別れ会だが、視点を変えれば天皇杯への出発でもあるわけだ」
「そうね」
「よし、そうなれば来年正月の国立に立つための永く、険しい闘いが始まるということだろう」
「そうね」
「その戦いを勝ち抜く為には何が必要だ」
「いろいろあるわ」
「いろいろあるが中でも一番大事なのは?」
「強靱な精神力」
「そりゃあ三蔵法師だ、おれたちには体力だ、体力だよ」
「それもあるわね」
「あるわねどころじゃない、まず第一だ、シュワルツネッガーも言っている、強靱な肉体に健全な精神が宿るとね」
「でも彼は共和党だぜ」
「共和党じゃいけないのか?」
「弱者に冷たく、戦争が好きだ」
「そりゃあ共和党に限らないよ、クリントンもイラク侵攻に賛成した、アメリカ人の一般的傾向だ」
「まあ、待て、話がそれた、俺が言いたいの体力の事だ」
「そのことなら、わたしの話しを聞いて」
明美は佐藤を制して話を続けた。
「ライオンは狩が下手なのを知っているでしょう、足が遅いから、でも速いからいいかというとそうもいかないのよ、ピューマは足が速いけどたびたび狩に失敗するの、何故だか分かる?」
「わかんない」
「肉ばかり食べているからよ」
「其処へ行くか」
「ライオンにしろピューマにしろ見た目はいいけど人生の3分の1は腹ぺこ、残りは睡眠と放浪」
「哀れな話だな」
「そうよ、肉食動物に未来はないの、種の保存が精一杯、それに比べて雑食生物は強く、繁栄しているじゃない」
「それと俺とどういう関係がある」
「だから、天皇杯の予選であっさり負けても良いの、どうせ私たちは進学してそれぞれの目標に向うわけでしょう、Jリーガーになる人はそこで頑張ればいいのよ、そのために肉を食べて少なくとも後20年ぐらいはあるだろう人生を棒に振ることはないのよ」
「何で棒に振るんだ」
「頭は悪くなる、身体は悪くなる、そこにどんな未来があるの?」
「少し大げさじゃないか」
「あなたには大げさじゃないの、肉を食べたければ野菜を食べなさい、それだけのことじゃない」
「わかった、食べる」
佐藤はジャガイモを頬張った、一気に食べるつもりらしい。
「もっと味わって食べなさい、作った人もジャガイモも気を悪くするでしょう」
佐藤は牛乳でかろうじてジャガイモを飲み込むと翠の前に皿をだした。
「その大きいやつをたのむ」
翠は一番小さな肉の塊を皿に乗せた。
「翠、おまえもか!」


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