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新連載 [日記のような小説]

試合は紅葉台の完勝で終わった。
終了のホイッスルが鳴るのを待っていた子供たちがピッチに現れた、紅葉台の選手に向って殺到するということはなく運動会の入場のように一定の秩序とリズムを保っていた。
ベンチにいた1年生も加わって恒例の即席サッカー教室と交流会が開かれるのだ。
今日は菊池君とミゲル君に子供たちが集まった。
ドリブルとコーナーキックの実技が始まった、その一方で女の子たちの人気はやはりナデシコだった。
翠が座り込んだ周りに大きな輪が出来た。
背中には二三人の子どもが子亀のように張付いている。
そして、情況にかかわりなく思い出したようにやって来て翠のポーニーテールを引っ張って行く子どもがいた。
「今日はなんで点を取らなかったの、翠ちゃん」
「頑張ったんですよ、でも、菊池君はかっこよかったでしょう」
「うん、でも、翠ちゃんがとってほしい」
「こんどはとる?」
「頑張ります」
「そうしたら、たくさんとってね」
「まかしてください、3年生になりますからね」
「わたし一年生になるよ」
「まあ、よかったね」
「わたしねんちょうさん、この子は保育園に行くんだよ」
「そう、じゃあ、たくさんご飯をたべましょうね」
「なんでごはんをたべるの?」
「元気になりますよ」
「ゲンキになったらどうなるの?」
「こにはお花が一杯咲いていますね」
「さいてる」
「そのお花がもっとキレイに見えますよ」
「ほんとう!」
「はい、ほんとですよ、それにね」
「それに」
「鳥さんたちの声がよく聞こえますよ」
「翠ちゃんにはきこえる」
「聞こえますよ、そうすると胸がわくわくして楽しくなって、歌をうたいたくなりますよ」
「うたはすき」
「そうね、たのしいね」
「歌つて、翠ちゃん」
翠の輪が歌をうたい、となりの明美の輪は相撲、香苗の輪はお絵書きをやっていた。
そんなところへ二年生の今宮華絵がマネージャ久美からの通達
“ソロソロ終わりにしないと夕食の仕度に間に合わない”
とふれて廻った。
「翠ちゃん、あした帰るの?」
「がっこうがはじまりますからね」
「こんどはいつくるの?」
「五月、田植えに来ますから、また逢いましょうね」
「ねえ、ねえ、紅葉台のご飯たべにいっていい?」
「いいですよ、おいでなさい、たくさん食べてね」


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